コンサルティングファームの中途面接で、志望動機に対する面接官の反応がよくないですが、どのように対処すればいいでしょうか?
志望動機では、他社と比較してなぜ自社に入社したいのかをオリジナリティをもって回答することが必要です。逆にどのファームにも当てはまるような一般的な内容だと、面接官の評価は得られにくいです。以下で説明していきます。
コンサルティングファームの面接では、ケース面接など特殊な面接も課されますが、いわゆる定番質問もあり、その中でも志望動機はどのファームでも確実に問われる定番中の定番な質問です。
しかし、とりあえずどこかのファームに入りたい一心で志望動機が一般的な内容になってしまい、面接官の評価を得られずに苦労している方も少なくないのではないでしょうか?
本日のお題は、コンサルティングファームの面接でウケが悪い志望動機の例と対処法についてです。
Big4など大手総合系コンサルティングファームの中途面接で、面接官から志望動機への評価が得られずに悩んでいる方や、志望動機をどう答えるべきか知りたい方に参考になると思います。
なお、総合系ファームの採用面接で実際に挙がった質問事例や、未経験からコンサルを目指す方法は以下記事で紹介しているので、よければご覧ください。
志望動機に対して面接官から評価されない理由
志望動機が面接官に評価されない要因は、大きく3点考え得ます。
それぞれ見ていきましょう。
要因①:そのファームに対する理解が不十分であるため
これはコンサルティングファームに限らず、あらゆる企業の採用面接でNGになる要素です。
例えば、IT系ファームの採用面接で業務コンサル中心に携わりたいと言っても、自社のこと理解していないと面接官に思われて終了です。
この点は、ほとんどの方に理解頂けると思いますので、これ以上の説明は割愛します。
要因②:志望動機が他社にも当てはまるような一般的な内容であるため
志望動機が面接官に評価されない場合、この要因が多いのではないでしょうか?
代表的な回答例は、
御社では、グループの総合力を生かしてクライアントにベストな提案をできるので・・・
御社では、構想策定から導入支援まで一気通貫でクライアントを支援できるので・・・
などの具合です。
これらは間違ったことは言っていませんが、
なぜそれが必要ですか?
それは現職や他のファームで出来ないのですか?
などと突っ込まれる可能性が高いです。
「なぜそれが必要ですか?」に対しては、
現職では、既に決まった要件に基づいてシステムを導入することが中心ですが、そのシステムがクライアントの成長に必ずしも繋がっていないことに問題意識を抱えていました。
従ってクライアントの成長に貢献するには、構想から携わる必要がある為です。
など、自身の経験に基づき、オリジナリティのある回答ができればよいと思います。
ただ、多くのコンサル未経験者にとって、そのように回答することはハードルが高く、
構想から導入まで支援しないと、クライアントの成長に貢献できない為です。
などと、ある意味当たり前な回答しかできず、
何故そのような考えを持つようになりましたか?
と、面接官から更に突っ込まれ、窮地に陥る可能性があります。
また仮に、「なぜそれが必要ですか?」に回答できたとしても、今やどの総合系ファームも“総合力”や“一気通貫支援”をウリにしているので、
それは弊社でなく、他のファームでも出来ますよね?
と、一蹴される懸念もあります。
現役コンサルの立場から現実的な話をすると、ファームによる違いはありますが、総合系ファームはその総合力を活かせる場合もあれば、連携が上手く機能しない場合も少なからずあります。
またERPをはじめとした大規模システム導入プロジェクトは、構想策定からシステム稼働まで、国内導入では3年前後、グローバル展開では5年以上などの長期間になり、プロジェクトマネージャーでない限り、同一人物が構想策定から導入支援まで一気通貫で携わることは滅多にありません。
従って、志望動機で “総合力” や “一気通貫支援” を中心に述べると、面接官に薄っぺらく感じられたり、実態を理解していないと感じられる危険性があります。
要因③:志望動機で自分の志向ばかり主張しているため
自分の志向とファームの方向性は合致していることが重要な為、志望動機で自分の志向を述べることは必要です。
但し、コンサルティングファームも事業会社と同様に営利団体なので、
御社では、〇〇領域の専門性を身に着けることができる為、志望しました。
などと、自分の志向ばかりを主張しすぎると、
当社は、あなたを教育する為に存在しているのではないのですが・・
などと思われ、面接官にあまり良い印象を与えないでしょう。
後述しますが、自分の志向は適度に主張しつつも、その志向がファームへの貢献に繋がることを、面接官に理解してもらえるように述べることが望ましいです。
面接官の評価を得るための対処法
ではどのように対処すれば、面接官の評価を得られるでしょうか?
基本的には上記の裏返しになりますが、以下ポイントを踏まえることで、より締まった志望動機になり、面接官のウケも良くなります。
対策①:そのファームを十分に理解すること
志望動機を考える為、また入社後に理想と現実のギャップを生じさせない為に、志望するファームを十分に理解することが必要です。
ファームを理解するための情報収集手段として、以下が挙げられます。
- 企業HPから情報収集する
- ファーム在籍者から情報収集する
- 転職エージェントから情報収集する
【企業HPから情報収集する】
まずは企業HPからの情報収集が基本であり、最もハードルが低いです。
私の知り合いの転職エージェントから聞きましたが、あるコンサル志願者は、志望するファームのHPに記載された内容を隅から隅まで把握しており、志望するファームについてはエージェントよりも詳しかったそうです。
企業HPの情報は誰でも簡単に得られますので、その内容はしっかり把握しておくべきです。
【そのファームの在籍者から情報収集する】
次にこの方法が挙げられますが、知り合いに志望ファームの在籍者がいない限り、この方法は最もハードルが高いでしょう。
但し、そのファームの情報に最も詳しいのは、やはり在籍者です。
もし知り合いがいない場合、大手総合系ファームでは中途採用説明会などのイベントを開催している場合もあるので、そこで在籍者と直接会話する方法もあります。
【転職エージェントから情報収集する】
最後に転職エージェントからの情報収集が挙げられます。
転職エージェントは誰でも無料で利用できるため、活用のハードルが低いです。
また転職エージェントからは、そのファームの企業情報だけでなく、直近の採用動向、過去の面接における質問内容・傾向、場合によっては面接官の特徴など、企業HPでは得られない情報も収集可能です。
更に、選考への応募書類の添削や、ケース面接含めた模擬面接も対応して頂けます。
私も転職時に活用しましたが、数ある転職エージェントの中でも、コンサル業界専門の転職エージェントは、コンサル転職に関する広く深い情報を持っていますので、是非活用してみてください。
対策②:他社との違いを踏まえ、自身の経験に基づいたオリジナリティを持たせること
そのファームのことを十分に理解したうえで、志望動機を他社との違いを踏まえ、オリジナリティをもって回答することが必要です。
例えば、“他のファームとの違い”で言えば、以下のような回答例が挙げられると思います。
他のA社はPool制の為、未経験で入社すると、志願する〇〇領域に携われない可能性があります。一方、御社はユニット制なので、A社と異なり、志願する〇〇領域に携われる為、御社を志望しました。
さらに例えば以下のように、自身の経験をもとに志望動機を述べることができると、オリジナリティが上がり、“他ではない御社”ということをしっかりアピールできて有効です。
以前にお会いした(或いは前回面接担当の)〇〇さんの△△という話に感銘を受け、そのような方と是非一緒に仕事をしたい為、御社を志望しました。
選考が進むほど志望動機を深く聞かれる傾向があります。
身近にファーム在籍者がいない場合、例えば、面接時の逆質問で面接官とコミュニケーションし、その後の面接で“他社ではない御社”に答えられるネタ集めをすることが望ましいです。
対策③:ファームに貢献できると示すこと
既述のとおりコンサルティングファームも営利団体の為、自分の志向や経験によってファームに貢献できることを示せると、面接官の評価を得やすいです。
面接官も、
「この人を採用すると、ファームにどのような貢献をしてもらえるか・・?」
「この人はどのようなプロジェクトで活躍できそうか・・?」
などを考えながら面接している為です。
回答例としては、以下のような内容が挙げられるでしょうか。
現職では、管理会計システムの導入に携わっており、コンサルタントとして管理会計領域でクライアントの成長に貢献していきたいです。
御社は管理会計のプロジェクトが豊富で、システム導入も積極的に行っていると認識していますので、私の現職での経験は、システム導入フェーズでプロジェクトをリードしていくことに貢献できます。
またシステムの知見がある為、実現性のある業務プロセスを構想することにも貢献できます。
ちなみに私の同僚コンサルに聞いたところ、面接官から、
あなたを採用することで、弊社にどのようなメリットがありますか?
と質問されたそうです。
従って、自分がファームにどのように貢献できるかは、いつでも回答できるようにしておくことが望ましいです。
その他面接で注意したいこと
志望動機に限りませんが、予め答えを用意していたように面接官に感じられることは望ましくないので、注意が必要です。
私の失敗談ですが、面接に慣れない頃は、想定される質問への回答を丸暗記していました。
そのことが奏功した場合もありますが、想定外の質問に回答できず、予め回答を準備したことしか答えられないことがバレていました。
つまりコンサルに必要な、思考の柔軟性や臨機応変な対応力、的を射た回答をするスキルが不足していることを見破られたということです。
従って、想定される質問への回答方針は練っておく必要がありますが、回答の一言一句を丸暗記することまではお勧めしませんので、注意頂ければと思います。
この記事で紹介する内容は以上です。
少しでも参考になれば、幸いです。