もう体裁を指摘させない!すぐに実践できる資料の体裁を整えるポイント

資料作成

ビジネスでのプレゼン資料はロジックが最重要で、細かい体裁は気にする必要ないと考える方もいると思います。
また、例えば時間勝負でクイックに合意形成が必要な場合など、体裁を無視してよい場合もあります。
しかし「品質は細部に宿る」とも言われる通り、例えばマネジメント層や顧客等への”勝負どころ”のプレゼンは、体裁の整った洗練された資料で臨む必要がありますし、以下記事で紹介した通り、体裁を整えることは資料作成の原則の1つでもあります。

本日のお題は、資料の体裁を整えるポイントについてです。
私がコンサルタントの業務において資料の作成やレビューに携わる中で、体裁を整えるべきポイントとして多く目にし、なおかつ誰でも実績できる項目を上げていますので、資料をブラッシュアップする上でのチェック項目として役立てて頂ければと思います。

それでは、一緒に学んでいきましょう。

フォント、及びフォントサイズの統一

フォントは文字の書体(例 Meiryo UI 、MSゴシック 等)、フォントサイズは文字の大きさです。

① フォントの統一
資料作成時は使用するフォントを決めて、資料内の全ての文字をそのフォントで統一します。
文章毎にフォントが異なると、読み手に不揃い感を抱かせたり、フォントの違いが何を表しているか疑問を与えたりする可能性があります。

② フォントサイズの統一
フォントサイズは、資料内の全ての文字で統一する必要はありませんが、同じ性質の文章はフォントサイズを統一すると体裁が整います。
例えば、以下のようなイメージです。
・タイトル:20pt
・トップメッセージ:16pt
・強調メッセージ:24pt
・オブジェクト内の文章:14pt
・注釈:10pt  など

文末表記の統一

文末は、「敬体/常体」・「体言止め/用言止め」・「句点有り/無し」の3つの観点で、表記を統一します。

① 敬体/常体
敬体は文末を「~です」・「~します」等と表記する文体で、「です・ます調」とも呼ばれます。
常体は文末を「~である」・「~とする」等と表記する文体です、「である調」とも呼ばれます。
ビジネス資料はどちらも使用可で、丁寧な印象を与えたい場合は敬体、文字数を削減したい場合は常体を用います。
ただし、資料内では敬体/常体を混在させず、どちらかの文体で表記を統一する必要があります。

② 体言止め/用言止め
体言止めは「~する予定」・「~の想定」等、名詞で終わる文体です。
用言止めは「~する予定である」・「~と想定している」等、動詞や形容詞等で終わる文体です。
詳細は言語学になるので割愛しますが、文末が名詞か名詞以外かの違いとざっくり捉えればよいでしょう。
資料内では体言止め/用言止めを混在させず、どちらかで表記を統一する必要があります。
体言止めは文字数を削減し易いですが表現が曖昧になり易く、ビジネス文書と相性が良くない為、用言止めで統一する方が無難です。

③ 句点有り/無し
句点は文末の「。」です。
多くの人は句点有りの文章に慣れ親しんでいると思いますが、句点無しの文章を書く人もいます。
ビジネス文書における句点有り/無しに関するルールは、私が知る限りありませんが、文章が続く場合は句点で切れ目を表すので、分かり易さの観点から、句点有りで統一する方が無難です。

文頭位置の統一

文章を階層構造で記載する場合は、文章のレベルによって文頭の位置を変えますが、同一レベルの文章における文頭の位置は揃えます。

また改行が伴う文章も、1行目と2行目以降の文頭の位置は揃えるようにします。

オブジェクト内における文字位置の統一

オブジェクト内では文字の位置を左端・右端・左右中央、及び上端・下端・上下中央に揃えることができます。
オブジェクトによって文字の位置が異なると体裁が損なわれてしまうので、文字の位置を統一します。

オブジェクト内の文字の位置は、ホームの以下赤枠内で設定可能です。

またショートカットを用いて、素早く文字の位置を調整することもできます。
文字の位置を調整する際のショートカットは、以下の記事を参照ください。

文章の改行位置の調整

文章が複数行にわたる場合、英語は単語の途中で改行しませんが、日本語は単語の途中での改行が許容されます。
しかし、日本語でも単語の途中で改行するより、単語と単語の間で改行した方が見易いことに変わりはありません。

議事録やレポートのように文章が大半を占める資料であれば、いちいち改行位置を気にしていられませんが、ビジネスでのプレゼン資料のように文章量を抑えた資料では、可能な限り改行位置にも気を配った方が、より見栄えの良い読み易い資料になります。

漢字/平仮名、半角/全角を用いた表記の統一

資料内のある単語を漢字で表記すると、その単語は資料内で全て漢字で表記します。
同じ単語に対して漢字と平仮名を混在させません。
例として、漢字と平仮名が混在し易い言葉を挙げます。
・ ~頂く/~いただく
・ ~迄/~まで
・ ~出来る/~できる
・ ~し難い/~しにくい(~しがたい)
・ ~し易い/~しやすい
・尚~/なお~
・或いは~/あるいは~

同様に英数字やカッコ等の記号を用いる場合は、単語に関わらず半角全角を混在しないようにします。
つまり、ある英単語を半角で表記すれば、他の英数字や記号も全て半角で表記します。
(但し、どうしても混在させないと不都合な場合は、この限りではありません)

文字数の削減

ビジネスにおけるプレゼン資料は端的な表現が求められる為、文字数を極力減らす必要があります。
文字数を減らすテクニックは幾つかありますが、代表的な手法を紹介します。

① 不必要な動詞の削除
経験上、多く目にするのが不必要に動詞を重ねて、文字数が増えているパターンです。
例えば「~を検討することを行った」、「~を準備することを行った」等のイメージです。
これらは、後半の「行った」という動詞は無くても通じるので、以下のように書き換えれます。
・「~を検討することを行った」⇒「~を検討した」
・「~を準備することを行った」⇒「~を準備した」

② 同じ単語の括り出し
一般的に同じ単語を繰返し用いることは望ましくないですが、不必要に同じ単語が繰返されている資料をしばしば見かけます。
例えば「今日は論点1と論点2について議論します」、「今日は提案Aと提案Bのどちらを採用するか議論します」等のイメージで、前者は”論点”、後者は”提案”が繰り返し用いられています。
これらの単語は1つに纏めて、以下のように書き換えれます。
・「今日は論点1と論点2について議論します」⇒「今日は論点1・2について議論します」
・「今日は提案Aと提案Bのどちらを採用するか議論します」⇒「今日は提案A・Bのどちらを採用するか議論します」

図形の位置の調整

図解する為に複数の図形を並べる際、各図形の位置が上下および左右(またはその両方)でズレていたり、図形の間隔が不揃いであると、資料の見栄えを損ねてしまいます。
従って、図形の位置や間隔を揃えることが必要です。

図形の位置の調整方法は、こちらの記事を参照ください。

文章の余白・間隔の調整

文字がびっしり埋まった資料は窮屈感を与え、大変読み難くなってしまうので、見栄えを良くする為に余白や間隔を設けます。
余白・間隔については、こちらの記事を参照ください。

色の適切な使用

しばしば、資料に意味もなく多彩な色を用いる方を見かけますが、ビジネス資料においてその方法はNGです。

ビジネス資料における色は、例えば赤字やマーカーは注目してほしい、逆にグレーアウトは無視してよいなど、何かしらの意味を表す際に用います。
従って意味のない着色は、体裁の観点はもちろん、資料の分かり易さの観点でも、避けるべきです。

また、ある箇所の強調は赤、別の箇所の強調は青と色を分けると、読み手も混乱してしまう為、強調はすべて赤で統一するなど、同じ性質のものに対する色は統一します。

数値の記載方法の調整

例えば1や10などの小さな数値であれば、表記方法にさほど工夫は必要ありませんが、1,000を超えるような大きな数値であれば、体裁を整えるために、ひと工夫が必要です。
体裁を整える為の数値の記載方法として、代表的な方法を2つ紹介します。

① 大きな数値は千・百万単位等で表記
例えば、100,000、200,000,000・・・などの大きな数値をそのまま表記すると、一見して桁が分かり難く、文字数も無駄に多くなります。
従って、千以上の大きな数字は、100千や200百万等の表記で表します。
また数値間で平仄を合わせる為、千・百万などの単位は混在させず、一度用いた単位で各数値を表記します。

ちなみに上記の「良い例」は、”百万円”の文字が繰り返し使用されているので、既述の「文字数の削減」における「② 同じ単語の括り出し」の観点より、以下のようにも表記できます。

② 千以上の数値はカンマ付で表記
千以上の数値の表記が必要な場合、カンマ無しでは分かり難いので、忘れずにカンマを付けることが必要です。

  

この記事で紹介する内容は以上です。
いずれも細かい内容ですが、このような点が整っているか否かで資料の完成度、更には資料作成者の仕事に対する評価が変わるので、決して軽視せず、細部まで気を配って資料を作り込むことが重要です。
少しでも参考になれば幸いです。

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